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    「主演」

     今日連れ込まれた渋谷のラブホテルの部屋には、洗面所以外に鏡はなかった。由梨恵はそのことに、内心では胸を撫で下ろしていた。30過ぎで出産経験はなく、スレンダーな体型に崩れがないことを密かに誇りに思っていたが、自らの縄付き姿を鏡に映されたまま、身体中を嬲り回されるのは恥ずかしい。
     まして、由梨恵より2―3歳年上のこの高尾という男は、年齢に似合わず性感のツボを突いた老獪な責めを繰り出してくる。髪の毛を掴まれ、鏡に映る自らの顔を見せられながら、絶頂を告げる言葉を叫ばされたこともあった。逢瀬は今回で3回目でありながら、由梨恵は高尾の縄と責めに心身を蕩かされつつあった。
    「今日は鏡がなくて残念だと思ってるんじゃない?」
     高尾は笑った。風呂で入念に洗った身体に薄桃色のブラジャーとお揃いのショーツだけを身に着けた由梨恵を、ベッドの上で高手小手に縛り上げた高尾は、両足首を交差させて拘束する。余った縄を背中に通してゆるい胡座縛りを施す。
    「うん、あんまり意地悪されなくて済むかなって」
     肩のあたりまで伸びた髪を触る優しいタッチに、丸い目を細めながら由梨恵は答えた。ベッドの頭側の壁を背にした高尾に耳朶を甘噛みされながら、わき腹や内腿を撫で回されると、充血しつつある乳首がブラジャーの裏地に擦れる。思わず甘い声を漏らしそうになる。
    「その代わり、今日はこれだよ」
     高尾はベッドから降り、ベッドの傍に立てかけられたキャリーバッグから取り出したDVDを、由梨恵の正面の壁に設置された液晶テレビの下にあるデッキに挿入した。リモコンを操作すると、薄紫色のブラウス姿で後ろ手に縛られ、下半身はM字開脚縛りにされた由梨恵が、テレビ画面の中で俯いていた。
    「やだっ! 恥ずかしい……」
     先日の逢瀬で撮られた動画だった。由梨恵は撮影を嫌がったが、縛られていては抵抗のしようがない。バスローブ姿の高尾がホテルの部屋の床に座らされた由梨恵の背後に取り付き、ブラウスの上から乳房を撫で回している。やがて、ブラウスの前をはだけられ、上下を胸縄に挟まれて飛び出したCカップの乳房が剥き出しになると、充血した乳首が摘まみ転がされる。
    「あんっ!」
     画面の中の動きと軌を一にするように、乳首を触られた。もの凄く敏感になっている気がする。耳穴に息を吹きかけられながら、指の腹で乳首の先端をリズミカルに転がされると、思わず腰が動きそうになった。
    「ほら、ちゃんと視るんだよ。下手なAV女優なんかより、よっぽど生々しくて魅力的だろう?」
    「イヤだ……」
    「パソコンでエッチな動画視てオナニーしてるんじゃないのか? 自分が主演してるAVの方がオカズになるだろう」
    「そんなことしてません!」
    「嘘つけ、ネットにあるSM動画視て、縛られたいって思ったくせに。でも、縛られてちゃオナニーできないよな?」
     図星だった。そうした動画に触れ、思春期から内に秘めていた緊縛への憧憬を呼び覚まされたのだ。それがなければ、この男と知り合うこともなかったはずだ。
    「けど、まだおれは風呂に入ってないんだ。その代わり、これでオナニーしてる気分になるんじゃないかな?」
     高尾はブラカップから由梨恵の乳房を掴み出して両乳首にピンクローターの振動子を医療用テープで貼り付けた。ローターのスイッチを入れ、ブラジャーを元に戻す。
    「ああっ、イヤァ……」
     乳首への振動が身体の芯にも響いてくる。だが、肝心の所への刺激はない。それが物足りなくて仕方ない。シャワーなど浴びなくてもいいから、より直截的な責めを……との思いはもちろん口には出せない。
    「ロクに身体も洗わないままじゃ、失礼だからな。エロ動画楽しみながら待ってるんだぞ」
     高尾はバスルームに消えた。テレビ画面からは自らのはしたない声が響いてくる。恐る恐るそちらに目を向けると、由梨恵は乳首を刺激されながら、もう片方の手で肉芽を愛撫されていた。
    「あんっ、気持ちいいっ」
     目の前で三脚の上に乗ったデジタルビデオカメラが自らの痴態を冷徹に記録しているにもかかわらず、由梨恵は頭を仰け反らせてのたうち回っている。恥じらいも忘れて快楽に溺れきった表情、汗に濡れた髪、勃起しきった乳首――そして、弄り回される肉芽。両側を人差し指と薬指で押さえられ、すっかり露頭した赤い先端が、高尾の中指の腹でゆっくりと転がされている。時折、秘裂から溢れる熱い樹液を指にすくい取られ、肉芽に塗り付けられる。由梨恵の秘部は溢れた蜜で淫らに煌めいている。
     由梨恵は高く細い声で啼きながら、時折喘ぎを切羽詰まらせてる。身体の芯はとっくに燃え盛っているにもかかわらず、高尾がわざと手加減している。このため、体内の迸りは爆ぜることを許されないのだ。
    (やだ、感じちゃう……)
     由梨恵は胡座縛りの身体を捩らせた。熱く粘り気のある滴がショーツの底を汚しているのを自覚していた。ローターは乳首を着実に責め上げてくる中、自らの痴態を見せ付けられているのだ。感じやすい身体がはかばかしい反応を示さないはずはない。
    「あん、ダメ、それダメっ!」
    「そう言いながら、ズブズブ呑み込んでいくよ。キュッと締め付けちゃって、相手が童貞ならすぐ逝っちゃうかもな」
     画面の中で、高尾は嗤いながら中指を蜜壺に抽送し始めていた。
    「気持ちいい……。キスして、高尾さん、キスを……」
     由梨恵が叫びながら顔を背後の高尾に押し付けている。高尾がそれに応じて唇に舌を差し入れると、由梨恵はそれを吸いしゃぶる。その間、蜜壺への指の抽送は止まっていた。やがて唇を振りほどくと、由梨恵は哀願を始めた。指を呑み込んだ腰を前後に揺さぶっている。
    「もう少しなのにっ……。指動かしてっ!」
    「ほら、こうすればいいのか?」
     抽送は再開されたが、動きは見るからに緩慢だった。
    「焦らさないで……。もっとぉ」
    「『逝かせてください』、だ」
    「逝かせてえっ! もう許してっ」
     指の抽送が激しくなった。由梨恵は眉を八の字にしながら、汗の浮かぶ顔を真っ赤にして中指を貪っていた。
    (あんな顔になるんだ……)
     口を半開きにし、視線を宙に彷徨わせた呆けた表情を晒しながら、画面の中の由梨恵は無心に快美感に浸りきっている。高尾にいいように弄ばれながら、腰を蠢かせ、腹を震わせている。転がされる乳首は極限まで勃起し、指を呑み込んだ股間からは恥ずかしい匂いが漂ってきそうだ。
    「もうダメっ、おかしくなるっ……。逝くっ、逝っちゃうぅ」
     顔を高尾の肩にもたれさせながら、由梨恵は緊縛された全身をのたうたせた。荒い息を吐く由梨恵の秘部に、今度はバイブが挿入された。
    「あん、もうイヤあ……」
     すると、食い入るように画面を見つめていた由梨恵は髪の毛を掴まれた。
    「香田由梨恵主演のAV、気に入ったみたいだな」
     風呂から上がった高尾が皮肉な笑みを浮かべていた。動画は止まり、テレビの電源が落とされた。
    「恥ずかしかったんだから……」
    「ホントにそうなのかな?」
     高尾は胡座縛りの縄だけをほどき、由梨恵を膝立ちにさせると、ショーツを一気に引き下げた。膝のあたりで絡まったショーツの底を広げながら、高尾は嗤った。
    「こんなに濡らしてるじゃないか」
     ショーツを両足首から抜き取り、濡れた舟底部分を由梨恵の鼻先に突き付けた。
    「見たくないっ」
    「自分が責められる姿を見て感じちゃったんだろ? 由梨恵はすっかり変態になっちゃったね」
     ショーツが丸められ、俯く由梨恵の口に突っ込まれた。白い手拭いで手早く猿轡を噛ませられる。
    「ぐうぅ……」
    「由梨恵のマン汁は美味しいだろ? これからどうしてやろうかな」
     ローターの振動子を外して乳首をひねり回しながら、高尾は嗤った。

    突り

     何か冷たく尖った物が淫裂をなぞる感覚に、朋香は呻いた。
    「ん……」
     思わず脚を閉じようとしたが、固い縄目に阻まれた。両膝の裏側に横に宛がわれた太い竹棒に縛り付けられているのだ。身体を捩ろうにも、厳重な後ろ手胸縄縛りの上半身を天井から伸びるフックに繋がれている。30半ばにしては贅肉が少なく均整の取れた朋香の身体は、薄桃色の長襦袢に包まれたまま人の字縛りにされているのだ。
    「まだ何もしてないよ。ここをこんなに尖らせちゃってどうしたのかな?」
    「いっ……」
     上橋の太い声とともに耳穴に息が吹きかけられる。嘲笑めいた言葉に反発しようとすると、充血した乳首に軽い痛みが走った。指先で弾かれたに違いない。朋香は黒い手拭いで目隠しされた顔を仰け反らせて喘いだ。視界を覆われる前に、密かに形の良さを誇る乳房が縄目に絞り出される無残な姿を鏡で見せられたのを思い出し、羞恥心が湧き上がってきた。
    「勃起した乳首をナメナメしてやるから、こいつをもっと楽しむんだ」
     ブチュッという音とともに乳首が根元から吸い上げられる。先端を舌先で舐め転がされる。それだけでも身体の芯が熱を帯びてくるのに、肉芽の周囲を細い物でつつき回される。背筋に電流が走るような錯覚に襲われる。
    「ああんっ!」
    「嫌いじゃなさそうだね、こういうの」
     肉芽が尖った物でこね回されているようだ。
    (針? 綿棒? 何なの、この感覚?)
     朋香は昂ぶりとともに湿った吐息を漏らしながら、的確に肉芽を刺激してくる物の正体に考えを巡らせた。その間にも、何やら細い物の動きは小刻みに速度を上げてきているようだ。断続的に舐め転がされる乳首の根元を甘噛みされる。肉芽と乳首に加えられる感覚に負け、熱い滴が太腿を伝い落ちるのを自覚した。その瞬間、朋香の体内で燻っていた炎が一気に燃え盛った。
    「ダメっ、気持ちいいっ!」
     意識せずとも腰が前後に揺れる。視界を遮られているのも相まって、50男の責めはいつもより直截的に性感を加熱させられている。
    「おっと、こんなんで逝っちゃったらつまんないよ」
     肉芽への刺激が遠のき、乳首からも唇が離れたようだ。その代わり耳たぶやわき腹が擽られ、首筋や背中に舌や唇が這わされる。露骨な焦らしだった。だが、それなりの男性経験を経たバツイチ女の身体は刺激に弱すぎた。
    「あんっ、意地悪しないで……」
    「どうしてほしいんだ?」
     次の瞬間、生臭い匂いが鼻を衝いた。
    「これ、朋香が漏らしたのだよ。オマ×コがこの熱いので溢れてる。イヤらしいなあ」
    「イヤっ、イヤっ」
     朋香は顔を背けたが、股間を上橋の指が彷徨ったかと思うと、再び生臭い匂いが鼻先に突き付けられる。唇に指が押し入ってくる。
    「おれの指がこんなに濡れちゃったよ。きちんと舐め取るんだ」
     羞恥に顔を火照らせながら、上橋の指に付着した自らの愛液を舐めていると、肉芽が柔らかい感触に包まれた。
    「ん……うぅふん」
     先ほどの細い物とは異なった感覚だった。
    (筆かしら……?)
     刺激は優しい。だが、筆先のような柔らかさに比べて異質に感じられた。上橋の筆責めで逝かされたことは何度かあるが、今の刺激は性感を昂ぶらせはするものの、勢いづかせるには弱すぎるように感じた。
    「あん……もっと……」
    「もっとこうしてほしいのか?」
     朋香はかぶりを振った。
    「こっちの方がいいんだな?」
     再び尖った物が肉芽に押し付けられた。根元の方を丹念に何度も軽く突かれた後、先端のあたりがこね回されるのが分かった。体内の感覚が急激にせり上がってくる。
    「ああ、気持ちいいっ! ダメっ、ダメになっちゃう……」
     朋香は顔を振り立てながら、不自由な身体を悶えさせた。乳首は噛まれ、舌で弾かれる。その間にも、肉芽への刺激はどんどん鋭くなり、思わず朋香は腰を前後させた。人の字縛りのため、刺激を逃がすことができず、その分昂ぶりが煮詰まるのが早い。身体の芯が沸騰する。
    「もう許してっ! 逝きそう……」
    「縛られてクリをチョコチョコ弄られただけで逝くのか? 恥ずかしい女だね」
    「ごめんなさいっ! ああん、逝かせて」
    「エッチだねえ」
     その瞬間、背筋が強い電流に貫かれた。
    「逝くっ……逝っちゃう! ああんっ」
     身体が勝手に痙攣した。足を踏ん張っているのが精一杯だ。唇の端から涎が垂れ落ちた。
     荒い息を吐きながら絶頂の余韻に浸っていると、目隠しが取り去られた。
    「こんなので逝かされちゃったんだよ、朋香は。度を超したスケベだよね?」
     髪の毛を掴まれ、目の前に突き付けられた物を目にした朋香は、得心がいくと同時に、羞恥心が再び湧き起こされた。それは梵天付きの耳かきだった。
    「これ、何に使う物?」
    「……耳掃除」
    「そうだ。これにローションを付けて、クリちゃんを掃除してやったのさ。そんなんで逝っちゃうなんて恥ずかしいよね?」
    「だって……」
    「朋香は耳かきでも逝っちゃうはしたない女ですって言いなさい」
     上橋は乳首を揉み転がしながらイヤらしく歪めた顔を朋香に向けた。
    「……朋香は耳かきで逝ってしまったはしたない女です……」
    「そんな女にはお仕置きだな」
    「許して……」
     朋香は上橋の視線から目を逸らした。

    「軸」(「フットルース」③・完)

     唇を犯していた筆が抜き去られると、柚香は身体を俯せに転がされ、尻を持ち上げられた。すぐさま、工藤の屹立が押し入ってくる。
    「んあっ!」
     腰が律動に襲われるのを期待した。だが、工藤はゆっくりと剛直の先端を体奥に届かせると、動きを止めた。自らのものを柚香の肉壺に馴染ませようとしているかのように、先端だけをピクピクと蠢かせている。
    「あんっ」
     柚香は腰を揺すろうとしたが、工藤の手がガッチリと腰を掴んでいるため、思うように動かせない。そのくせ、先端が小さく体奥を擦り、柚香の感覚中枢を中途半場に煽り立ててくる。
    「もう……お願い、動いてっ」
     焦れた柚香が叫んだ。
    「自分がどんな淫らな顔してるか見てみろよ
     工藤は柚香の髪を掴み上げると、ベッドの上部の壁一面に張られた鏡に映し出した。上気して目は霞み、やや濃いめの眉は八の字に広がっている。
    「ああ、恥ずかしい……イヤっ!」
     柚香は身を揉んで訴えた。
    「イヤなら止めようかな」
     工藤は屹立を抜き去ろうとする。
    「そんなっ、お願いですっ、抜かないでえ!」
    「イヤなんじゃないのか?」
     先端だけを肉壺の入口で軽く抽送しながら、工藤は惚けた。
    「もうイヤって言わないから……言いませんから……」
    「ようし、今の言葉、忘れるんじゃないぞ」
    「イヤあっ、そこダメっ!」
    「イヤって言わないんじゃなかったのか、柚香の嘘つき」
     工藤はコンドームをはめた中指で柚香の後門を抉り始めていた。
    「ツルッと入ってくぞ? こっちも経験済みなんじゃないか?」
    「そんなとこ初めてですっ!」
     鏡に晒し上げられた顔が歪み、目尻から幾筋かの涙が伝っている。そんな自分の表情が浅ましいものに思えてならなかった。その間にも、指はゆっくりと着実に後門を広げ、奥まで押し入ってきていることに、柚香は気付いていなかった。
    「ほら、簡単に広がるじゃないか。こいつはどうだ?」
    「何を入れてるのっ?」
    「さっきお前を逝かせてくれたものだよ」
    「筆なんかダメっ」
    「おれの指と大して変わらない太さだぜ? お前が心を込めて舐めてくれたおかげで、すんなり入ってくぞ」
     工藤は筆の軸を後門に侵入させていった。その半分ほどが埋まった後、小刻みな抽送が開始された。
    「イヤあん、変な感じ……」
     柚香は前後左右に腰を揺すり立てながら、未知の感覚に喘いだ。背中で重ねられた両手を、無意識に開いたり閉じたりしている。髪の毛から離れた手が乳首を揉み立て出すと、腰はさらに淫らに蠢いた。再び奥に押し入った屹立に、肉壺が絡み付いてしまう。
    「オマ×コがキュッキュッと締まるぜ。ケツの穴を弄られるのも悪くないんじゃないのか、あん?」
     筆の軸は後門の襞を掻き出すようにゆっくりと前後運動を続けている。後門の感覚をかき立てられるたびに肉壺が食い締めている肉棒の太さや長さ、熱さが意識させられる。工藤の指の腹が肉芽をも転がし始めた。
    「三点責めってやつだ。こういうのは嫌いかな?」
    「ヤっ、ダメっ! んくっ……ひぐっ、あはぁん……」
     柚香の腰がプルプルと震え、背中が反った。しばらく後、顔をベッドに埋め、激しい喘ぎを繰り返している。
    「まさか、ケツの穴で逝ったんじゃないだろうな? あまりに締まるんで、おれも逝きそうになったぜ」
     工藤は嗤いながら、言葉も発せられずに荒い呼吸を続けている柚香の腰を抱えた。
    「あはんっ!」
     本格的に肉棒の抽送が始まった。もちろん、後門には筆の軸が挿入されたままだ。ゆっくりと大きな動きで体奥を着実に突き上げられたかと思うと、入口のあたりを先端が小刻みな動きで刺激する。腰が大きく「の」の字に旋回し、柚香をかつて味わったことのない感覚に追い込む。断続的に喘ぎが漏れ、時折一オクターブ高い声になる。肉壺から漏れ出した淫液が幾粒もベッドシーツに滴り落ちていることになど気付いていない。
    「あん、もっと突いてえ……突いてよっ! 工藤さん好きぃ……」
     工藤の腰の動きが小さくなると、焦れた柚香が激しい突きを催促する。工藤はそれに応える代わり、筆の軸の抽送を再開した。
    「それダメっ! おかしくなっちゃうぅ……」
    「狂っちまえ、ほらっ」
     器用に筆の軸を操りつつ、工藤は大腰で柚香の肉壺を擦り上げ、体奥を突きまくる。それに合わせて柚香の腰も前後に蠢き、工藤の肉棒がもたらす快美感を存分に貪ろうとしていた。柚香の喘ぎ声がさらに大きくなり、呼吸が切迫してきたところで、また髪の毛が掴み上げられた。
    「自分に向かって言うんだ、『逝くぅっ』って」
     同時に、工藤の抽送もラストスパートとばかりにスピードを増してきた。柚香の視線が、快感に翻弄されて歪んだ鏡の中の自らの蕩けた目と絡み合ったとき、体内で何かが大きく爆ぜた。
    「狂っちゃうっ……! あ、イヤっ、ホントに逝っちゃうっ……逝くっ、あはん逝っくぅっ……」
     肉壺の収縮に負けたのか、工藤も自らを解放した。体内でピクピクと先端が蠢くのを感じ、柚香は鏡に目をやったまま気が遠くなっていった。

    「ひと刷き」(「フットルース」②)

    (↓前回の話)
    http://ropeandcabbageroll.blog.fc2.com/blog-entry-12.html

     乳輪のあたりを巡るように舌がチロチロと蠢いた後、唇が乳首の先端を啄むようなキスを繰り返す。双方の乳首にそのような愛撫を続けながら、右手の指先は毛叢をかき混ぜ、鼠径部を撫で回す。先ほど絶頂に達した後、落ち着きを見せていた柚香のそこは再び熱を持ち始めた。
    「あんっ、もっと……」
     椅子縛りからは解放されたものの、上半身の縛めはそのままにベッドに転がされた柚香はむずかった。両脚は既に開かれているのに、工藤は再び意地の悪い焦らしを継続している。
    「さっき逝ったんだからいいだろ? もう少し愉しめよ」
     乳首の根元が軽く噛まれる。それだけで背筋に電流が走り、秘裂からは熱い雫が垂れるのを自覚しながら、柚香は顔を赤くして羞じ悶えた。すると、工藤の中指が唇に割り入ってきた。
    「うむぐっ」
    「ほーら、おれの指をチ×ポだと思って舐めるんだ。でないと、もう逝かせてやらないからな」
     自らが漏らした淫液の味と臭いが口の中に広がってくる。その羞恥に耐えつつ、柚香は懸命に指に舌を絡ませ、唇で吸った。粘膜が肌に擦れる濡れ音が淫猥に響き、工藤の剛直を口唇愛撫するときよりも恥ずかしさに嘖まれた。
    「ダメだ、舐め方が甘いな。こんなんじゃ、もう触ってやらないぞ」
    「そんな……お願いですから」
    「しょうがないな、こいつで我慢してもらおうか」
     ベッドの宮の上に並んだローターやバイブなどの責め道具の中から、工藤が持ち出して見せたのは筆だった。先ほどまで、柚香の足指や甲を擽っていた書道用だ
    「それはイヤっ! ああんっ……」
    「イヤとか言いながら、その声は何だ、あん?」
     工藤は乳首を舐め転がしながら、筆を秘裂に沿って這わせてくる。鼠径部を撫でさすり、溢れる蜜をすくい取ったりしながら、既に充血している肉芽の周囲を回遊している。
    「ああ、もっと気持ちいいところ……んふんっ……」
    「十分に気持ちいいんだろ? 柚香のスケベな臭いが漂ってきてるぜ」
    「イヤ、ク、クリ……」
    「ちゃんと言わないと分かんないよ」
    「クリトリスを触ってくだ……さ……い」
     最後の方の言葉は聞き取りにくくなっていた。
    「最初からハッキリ言えば、焦らされなくて済んだのにな」
     次の瞬間、肉芽に筆先の一刷きが舞った。
    「ひぃっ」
     筆に肉芽を数回繰り返して転がされた後、工藤は言った。
    「どうせなら、クリちゃんをムキムキにしてやるぜ」
     左手の人差し指と中指で肉芽の両側を押さえ、包皮から露頭させた肉芽の先端を筆が走り抜けた。
    「あはんっ!」
    「ムキムキのクリを筆でコチョコチョされる気分はどうだ?」
     神経の塊を繊細な筆先に擽り回され続け、柚香は緊縛された上体を反らせ、開きっぱなしの両脚を突っ張らせた。執拗な筆責めに肉芽への感覚が鈍ってくると、筆先は蜜壺から溢れた淫液に浸されて尖り、肉芽の根元の周囲を回る。先端に筆先を押し潰すように圧迫される。体内の熾火は大きな炎となって全身に広がってくる。だが、もう一段の爆発をもたらすにはわずかに至らなかった。
    「ほら、また逝っていいんだぜ」
     左手の指が勃起しきった柚香の乳首をひねり回す。筆が強く押し付けられる。かと思うと、肉芽の先端を軽く擽るような愛撫に切り替わる。筆責めは緩急自在に柚香の性感を炙り立てていく。
    「あんっ、もう許してっ!」
    「もう逝っちまうのか?」
    「違うっ、逝けないのっ」
     柚香は叫んだ。
    「さっきから筆で優しくいじめてやってるじゃないか、クリちゃんを?」
     筆の愛撫は続いている。
    「筆じゃダメなのぉ……。クリ舐めてっ、触ってくださいっ!」
     目尻からは涙が一筋流れてきた。汗まみれになった身体が捩られる。
    「筆でコチョコチョじゃダメか? お前、自分がどんな恥ずかしいこと口にしてるか分かってるのか、あん?」
    「意地悪しないで、お願い……あああんっ!」
     筆の軸の先端が肉芽を軽く押し始めた。筆先の柔らかい愛撫と違い、比較的固い竹がリズミカルに触れてくる感触に、柚香は全身をのたうち回らせて応じるしかなかった。
    「んひっ! それ気持ちいいっ……」
     軸の先端が露頭した肉芽をこね回す。乳首は指先で揉まれ、引っ張るように摘ままれる。肉芽が再び規則的に押されると、柚香の喘ぎ声は切ない調子から開けっぴろげに快楽を訴えるトーンに変わる。
    「あんっ、ダメっ! 逝く、逝っちゃうっっ……!」
     柚香は身体を仰け反らせ、腰を震わせた。乱れた呼吸を整える間もなく、より強い感覚が秘裂を包み込む。
    「イヤっ、入れちゃイヤっ」
     筆の軸が肉壺に押し入ってくる。
    「まさか、こんな細いのが気持ちいいなんてこと、ないよな?」
     抽送が開始され、軸の先端がGスポットを着実に突き上げてくる。ここの感覚は工藤が開発したものだけに、柚香を追い込むポイントは把握されている。
    「そこダメですっ……。ああ、また逝っちゃうぅ、工藤さん許してっ! んんっ……ひぃっ!」
     真っ赤にした顔を振り立てながら、柚香は腹を波打たせ、不自由な肩を上下させている。
    「エッチだなあ、柚香は」
     あっという間に絶頂に引き上げられた柚香を見下ろしながら、工藤は嗤った。
    「んぐっ、イヤぁ……」
     喘ぎの絶えない愛らしい口に筆の軸が押し込まれる。
    「クリとオマ×コで逝かせてくれたこの筆に感謝するんだよ」
     唇に咥えさせられた筆がゆっくりと抽送され始めた。柚香はわずかに塩気のある淫液にまみれたそれを、舐めしゃぶるしかなかった。

    「漏出」(「事前合意」③)

    (↓前回までの話)
    http://ropeandcabbageroll.blog.fc2.com/blog-entry-66.html
    http://ropeandcabbageroll.blog.fc2.com/blog-entry-67.html

     涙に霞んだ目が、全裸でソファにふんぞり返った早坂の股間に向けられている。早坂が既に勃起した屹立をこれ見よがしにしごきはじめると、千里の視線はそこに固定された。2メートルほど離れた場所に立たされた千里は両膝を擦り合わせるようにして、半開きとなった口からは、喘ぐような吐息が漏れ出している。
    「ほら、きちんと立っていなきゃダメじゃないか」
    「だって……」
     千里はいったん縄を解かれた後、全裸にバスローブを引き向かれ、改めて厳重に高手小手に縛り上げられていた。乳房の上下を絞るように走る縄は胸元を締め付け、乳首を屹立させている。腰が小さくうねっている。
    「何だ、そのイヤらしい腰の動きは? ほら、脚を肩幅くらいに開いてみろ」
    「はい……」
     千里は素直に早坂に従った。またしても透明な雫が床に垂れ落ちた。
    「今、何か落とさなかったか?」
    「何のこと……?」
    「千里のマン汁が垂れていったんだよ、床に」
    「イヤっ」
     千里は顔を背けた。
    「ちゃんと顔を見せるんだよ。でないと、今日はそのまま朝まで放置だぞ」
     半眼となった目、小さな喘ぎが断続的に漏れる唇。下唇を舐める無意識な舌の動きが早坂の劣情をそそる。額には汗の粒が浮かんでいる。
    「あ、またイヤらしい液がオマ×コから垂れ流しだぜ。乳首もピンピンじゃん」
    「も、もう……」
    「もうどうしてほしいんだ?」
    「ください……」
    「何を?」
    「早坂さんの……チン……」
     震えた声は小さくなり、語尾が聴き取れなかった。
    「なら、まずはその勃起した乳首をおれの口に近付けるんだ」
     寄ってきた千里が腰を屈めてそのとおりにすると、早坂は唇をすぼめて乳首に強く息を吹きかけた。
    「酷いっ……」
    「何が酷いんだ? 乳首舐めてやるなんて一言も言ってないだろ」
     嗤いながら早坂は両乳首に交互に息を吹きかけ、トリミングされた陰毛をまさぐったり、内股を撫で回したりしている。口惜しげな表情で乳首や股間を擦り付ける千里の動きを巧みに避けながらその動作を続けていると、千里は涙を噴きこぼしながら叫んだ。
    「も、もう意地悪しないでっ! くださいっ」
     千里は縛られた身体を屈ませると、早坂の屹立に舌を絡め始めた。すぐにそれを咥え、先端にチロチロと舌を這わせる。
    「もっとこいつが欲しいところに、喰らわせてやるぜ」
     早坂は屹立を千里の口から抜き、彼女をベッドに転がした。背中で重ねられた手首に負担が掛からないよう腰の下に枕をあてがうと脚を開かせ、避妊具を被せたそれの先端で千里の秘裂を上下に擦り始めた。
    「あ、あぁん……」
     亀頭部分を肉芽に擦り付けて千里から悲鳴を搾り取ると、夥しい蜜を吐く彼女の中に押し入った。
    「ひっ、気持ちいぃっ! もっとぉ……」
     早坂は焦らず、先端を肉壺の入り口あたりで小刻みに動かしている。千里は腰を動かしながら、熱を帯びた剛直をさらに奥まで呼び込もうとする。
    「こっちも気持ちいいはずだぜ」
     早坂は腰を千里の臍の方に向けて突き入れ出した。いわゆるGスポットを狙う動きだ。
    「あんっ、ダメっ……大きくなってるっ。どんどん大きくなってる……」
     早坂の剛直は抽送が続くにつれ、膨張度を増していた。そして、千里の肉壺はそれに対抗するように収縮を繰り返している。早坂は小刻みな抽送を続け、Gスポットを刺激する。
    「あんっ、そこイヤぁっ! 逝きそうっ」
    「まだ許さないぞ」
     早坂は怒張を引き抜いた。
    「どうしてっ? もう少しだったのにっ! ああんっ」
     再び早坂が千里の中に侵入してきた。今度はゆっくりとGスポットを突き上げる。
    「ひっ、気持ちいいっ……。もっと、あん、ダメっ」
     千里は早坂の腰に交差させるように脚を絡ませた。抽送の速度が増した。
    「い……逝くっ、逝っちゃうっ、早坂さんっ!」
     腰が大きくグラインドし、腹筋が震えて上下していた。
    「一回逝ったくらいじゃ勘弁してやらないからな」
     早坂は千里の身体を裏返すと腰を持ち上げさせ、背後から貫いた。
    「許してっ!」
     大きなストロークで千里の体奥を突く抽送が始まった。腰を抱えた早坂は腰を大きく動かしたり、亀頭を体奥に馴染ませるようにねじ込み、腰を「の」の字に回したりと、千里の性感を翻弄する。
    「もっと激しく、お願い……」
    「激しくどうしてほしいんだ?」
    「突いてっ! 突いてよぉ……」
    「スケベが。前の旦那も千里の淫乱さに音を上げたんじゃないのか?」
    「ああ、突いてえ……。スケベでも何でもいいのっ」
    「スケベな尻はお仕置きだな」
    「あんっ!」
     早坂が千里の大きく張った尻を平手で叩き始めた。打擲音が部屋中に鳴り響く。その間抽送は止まっているにもかかわらず、千里のそこは剛直を繰り返し喰い締め、絶叫混じりの喘ぎ声が早坂の耳をつんざく。
    「もっと叩いてぇ、腰動かしてぇ」
     抽送が再開された。腰が大きく前後に動き、剛直の先端が体奥を突き上げる。その動きが着実に千里を追い込んでいく。腰の上で重ねられた両手は開ききっている。
    「いいっ、気持ちいいっ……。逝くっ、また逝っちゃう。早坂さんも来てっ!」
     千里の崩れように、早坂も情欲を制御しきれなくなってきた。本能のままに腰を激しく抽送すると、熱い粘液に満たされたそこは怒張を締め付けてくる。
    「ああ、逝きますっ!」
     一声叫ぶと、千里の腰が小刻みに震え出した。早坂はたまらず欲望を解き放った。

     しばらくして剛直を引き抜くと、その先端から白濁した液が漏れていた。
    「ヤバい、コンドームが破れてやがった……」
     興奮から冷めた早坂の表情が硬くなった。
    「きっと大丈夫です、あたし、今日は安全日だから」
    「本当に平気か?」
     早坂は千里の身体を抱き起こしながら尋ねた。
    「あたし、周期がハッキリしてるから……。ねえ、もう一回ください……。このままでいいから」
     背中で固定された手が早坂のそれを優しく愛撫する。一度萎えかけたものに、再び血が集まり始めた。早坂の方を向いた千里が乳首を啄み、その口が徐々に早坂の下半身の方に降りてくる。
    「今度はあたしが上になりたい……」
     積極的な動きを見せる千里に押されるように、早坂はベッドに仰向けになった。千里はしばらく口唇愛撫を続け、十分な硬度を取り戻した剛直にのし掛かった。早坂はそれに手を添えると、千里が腰を重ねてくる。
    「ああんっ」
     しっかりと剛直がはまり込むと、千里は腰を前後に動かし始めた。早坂も負けずに腰を突き上げる。
    「気持ちいい……」
     千里は快美感に溺れながら、早坂に合わせて腰を上下させた。もう一度、早坂の精を搾り取りたかった。今日は彼女にとって安全日などではなく、最も危険な日であることを早坂は知らなかった。早坂がトイレに入っている間に、ベッドの宮に置かれたコンドームに穴を空けたのも千里だった。
    「来てっ……もう一回ちょうだいっ!」
     何度目かの絶頂が近付く中、千里は早坂にねだった。その声だけは一切嘘偽りがなかった。
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